アメリカのホームステイプログラムに参加した学生の1人が、ホストファミリーのお父さんの脚がとても長いのに感銘し、彼に "You really have long legs.(あなたの脚は本当に長いですね)"と言いました。ところがそのお父さんはそのコメントに対してどう反応して良いのか戸惑ってしまいました。なぜなら彼の耳に聞こえたのは "You really have wrong legs. (あなたの脚は本当に他人のものですね)"という英語だったからです。
実は、以下3つの理由により、英語のLとRの発音習得がとても重要になって来ます。
日本語の「ラ・リ・ル・レ・ロ」は【 l 】でも【 r 】でもないので、日本人が英語の【 l 】あるいは【 r 】を発音しても、【 l 】にも聞こえなければ【 r 】にも聞こえない場合が少なくありません。あるいは【 l 】のようにも聞こえるし【 r 】のようにも聞こる場合も多くあります。
【 l 】のつもりが【 r 】に聞こえたり、【 r 】を発音したと思っても【 l 】に響くこともあります。
日本語の「ラ・リ・ル・レ・ロ」の子音部分は、【 l 】でも【 r 】でもなく、【dr】と呼ばれています。すなわち「ダ」を言う時の【d】(舌の先端が口蓋の天井部分に瞬間的に軽く触れる)と英語の【 r 】が同時に発音される時の音です。英語の【 l 】は舌の先端が上前歯の裏側に押し付けられ時の音であり、【 r 】の場合は舌の先端がどこにも触れない発音なので、英語を日本式「ラ・リ・ル・レ・ロ」で発音してしまうと、混乱が生じます。
Dr.キノシタが実用英単語7116語を分析した結果、LあるいはRを含む単語がなんと65.3% もありました。 又Larry やreally のように1つの単語の中でLやRが複数使われているケースも多いので、実質的にはLとRの使用頻度は、82.3%にまで達します。
すなわち100の単語が使われると、LあるいはRが82回以上出てくる計算になります。
もう少し細かく説明すると次のようになります。
単語の種類 | 使用頻度 | 備考 |
---|---|---|
音節始めの[ r ] | 25.8% | 音節始めの[ r ]とは、rich とか road のように「r+母音」の組み合わせになっているものを意味する。 |
音節尾の[ r ] | 25.2% | 音節尾の[ r ]とは、car とか door のように「母音+r」の組み合わせになっているものを意味する。 音節尾の[ r ]の場合、子音としてよりも、母音としての性質が強く、「母音+r」は母音として扱われている。 |
[ r ] 全体 | 51.0% | |
音節始めの[l] | 18.1% | 音節始めの[l]とは、life とか lip のように「l+母音」の組み合わせになっているものを意味する。 |
音節尾の[l] | 13.2% | 音節尾の[l]とは、hill とか cold のように「母音+l」の組み合わせになっているものを意味する。 |
[l] 全体 | 31.3% | |
[l]と[r]の合計 | 82.3% |
実用英単語7116語の中に[l]と[r]を入れ替えると、別の単語になってしまうもの(たとえば rink とlink)が500語近くもあります。何を発音しているのかわからないのも困りますが、別の単語に聞こえてしまうと、更に大きな誤解をもたらせます。